先進国の株高に遅れることで最近特に話題に上るのが東京市場ですが、同じように今年2月の高値を依然として抜けない状況にいる中国市場が、ここへ来て大きく下落しております。
1部のIT企業に富が集中する状況は、決して良い経済構造とは言えません。また、その是正を試みるには民主主義国であれば法的にも相応の時間がかかりますが、一党独裁の中国ではいとも簡単、そのスピード、規模、厳しさは国家主席の匙加減であっという間であります。
昨年から始まった中国共産党(習近平)による有力企業のテッククラッシュ(テック企業たたき)は、巨万の富を得た創業者が国民の人気を得て政敵となりうることを阻止するため、ネット通販最大手アリババグループに対する反トラスト法(独占禁止法)により創業者ジャック・マー氏を追求し、更にその動きは同じく通販大手のピンドゥドゥ、動画アプリ「ティックトック」を運営するバイトダンスまで及びました。
この流れは更に進みデータ保護の名目で、配車サービス大手の滴滴出行など3社にも個人情報の違法収集の疑いで調査の手は伸び、米国株式市場への上場にも警告を鳴らし、おかげで株価の方は急落であります。
表向きは中国の各データの国外流出を防ぐ目的とされますが、億万長者となった各創業者の政敵化を防ぐ狙いと、貧富の差の拡大に不満を持つ国民感情を上手く利用した、共産党絶対主義の強要に他なりません。
更に、貧富の差を助長するとして、学習塾などの教育産業を非営利企業とするという民主主義国ではありえない暴挙が施行されました。中国の教育産業は既に1000億ドル(11兆円)規模に膨れ上がっておりますが、企業は共産党の鶴の一声で利益を上げることが許されない状況に追い込まれます。
これを嫌気して目先のヘッジファンド系のホットマネーは撤収を始めておりますが、今後は長期の資金の去就が注目点であります。中国巨大市場は魅力でありますが、今回は裏腹の独裁国家の危険性が牙を剥いたようであります。
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