9月の中間配当落ちもあっさり埋めて、東京市場の強さを再確認したところでありますが、振り返ってみれば結局今年、「セルインメイ」にはなりませんでした。
投資の世界にはアノマリーという言葉があり、直訳すると「異例」「例外」といった意味で確たる根拠には疑問符がつきますが、高い確率で起きるとされる相場のクセや経験則を云います。
過去のデータに基づき、専門家が折に触れて話題にするのが、株価変動の季節性です。10月から4月にかけて株価は上がり、5月から9月は停滞します。勿論、年によって隔たりはあります。東京市場は今年だけでなく、昨年も一昨年も当てはまっておりませんが、株価変動の季節性を裏付ける手掛かりはいくつかあります。
米国では例年、個人への税金還付が1月から始まり2〜3月にピークとなります。還付金は総額で30兆円強に達し、投資に回す人が多くいます。
日本でもその頃、企業の3月期業績が注目されます。決算発表に先立って投資家の先行買いが入りやすいのです。4月の新年度入りも強気材料です。国内の機関投資家が新規の資金を投資に振り向けるためです。
しかし、この時期を過ぎると、それまでの反動から国内外の市場で需給が悪化しやすいとされます。そうなる前に「セル・イン・メイ・アンド・アウェー(5月に売り逃げろ)」と忠告する格言であります。
ただし、10〜12月に株価が騰がる有力な説は見当たりません。それでも、株価の季節性に着目した投資戦略を知っておいてもいいでしょう。「株は9月末に買い、4月末に売る」という戦略です。
過去50年で見ると、日経平均を「9月末に買い、翌年4月末に売った」場合の成績は35勝15敗で、平均リターンは9%強です。また、「4月末に買い、9月末に売った」ときの成績は25勝25敗で、マイナス0.6%に比べ、はるかに優れていることが分かります。
投資の不思議さを知る上でも「アノマリー」を覚えておいて損はないでしょうが、ちなみに今年はアノマリーとは逆の「バイ・イン・メイ」でした。
相場の世界は本当に奥深く、常に柔軟な頭を要求されます。
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