先進国の中央銀行総裁が集まり金融政策について話し合う、欧州ポルトガルでのシントラ会議で、改めて欧州各国の利上げ姿勢に対し日銀だけが緩和姿勢継続という現状の再確認がされました。
このシントラ会議を経て年内2回の利上げをパウエル議長は示唆しましたが、それでも米国市場は然程押して来ません。弱気派のモルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏は、米株は近い将来激しい売りに晒され、S&P500は10%下落、大幅調整のリスクがこれほど高かったことはめったにないとのコメントを出しておりますが…。
勿論、金融政策は各国の都合で行われておりますが、日本においては未だに2%の安定した物価上昇率は得られておりません。昨今の賃金上昇率は目覚ましいものを感じますが、輸入物価等の上昇がそれをも上回ります。
従って、相変わらずコストプッシュインフレの色彩は拭えず、賃金の上昇がコストを上回り需要を刺激する理想的なディマンドプルインフレには届きませんので、金融緩和を継続するのは当然の金融政策と思われます。
原油価格の下落もあり、昨年ほど「悪い円安」論も横行しておりませんので、引き続き日本独自の政策遂行はメリットの方が大きいと思われます。
世界最大の運用会社ブラック・ロックのCEOが日本株に前向きなコメントを発表しましたが、更に、同社のストラテジストも改めて日本株は他の先進国に比べて明るい見通しで、注目すべきは日本企業の株主フレンドリーな姿勢と、日銀の金融政策がゆっくりと解除される可能性も好材料としており、ひょっとしたらYCCの調整に恐れているのは日本の投資家だけかもしれません。
昨日の東京市場も高値まであと250円の位置まで上昇しており、さすがに引けはボケましたが、それだけ多彩な資金がこの市場では動いているようです。
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