新型コロナウィルスの世界的流行に終焉の兆しが全く見えない現状、各国とも経済維持のため莫大な財政出動を強いられました。一説には、昨年の新型コロナウィルス蔓延以降、日本円で2000兆円近い資金が世界で投入されております。
当然のことながら各国ともに莫大な国債発行で、急速な財政悪化が進んでおり、コロナウィルスの勝つ以前に財政破綻を招くとの懸念も抱かれている訳でありますが、ここで登場するのがマクロ経済学理論の一つであるMMT理論であります。
所謂、戦時中の軍票発行と同じような考えで、新型コロナウィルスとの闘いは一種の戦争であり、自国通貨建ての国債は債務不履行のリスクはなく、インフレが脅威になるまでは財政支出を拡大しても構わないとの理論です。
この理論には国際通貨基金(IMF)も新型コロナウィルスへの対応で積極財政を進めることへ、「低金利の恩恵で高水準の債務残高は当面はリスクにならない」との見解を表明しております。
この当面のリスクとはインフレですが、現在は日本を筆頭にデフレリスクの方が心配な状況と思われますが、IMFは経済、金融危機の後始末では、早急な緊縮を迫る、常に通貨の番人的存在であったことからこの変化は、このMMT理論が適用されつつあるとの説得力と見られます。
市場経済において、各個人が自己の利益を追求すれば、結果として社会全体において適切な資源配分が達成されるという考え方は、英国のアダム・スミスが「国富論」のなかで唱えた「見えざる手」の一説であります。
このMMT理論により、現在行われている金融財政政策はこの「見ざる手」の力を弱める可能性もあるかと思われますが、歴史上稀に見る現在の危機は、この理論に基づく政策で乗り切るしかないのが現状でしょう。
これは国家の話です。よく日本の借金は国民一人当たり何百万円だ!(逆に日本の対外債権は世界一位です)と、日本の危機を煽り、緊縮を良しとする報道を目にしますが、政府の借金と個人の借金とは全く別のものであります。お役人様のプロパガンダには常に注意が必要であります。
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