インフレ懸念に対する警戒感は、特に金利の番人である中央銀行が常に目を光らせてきましたが、米国政府は「インフレの反転が最優先課題」とし、本気で原油価格の上昇を抑えに来ているとの内容を一昨日当欄で申し上げました。
更に政府は原油の高騰に市場操作、便乗値上げなども含まれているとの認識を持っており、既に連邦取引委員会が監視体制を整えております。加えて、戦略石油備蓄の放出まで言及され始めていることから、インフレ退治に向けて、コモディティ価格の上昇を抑える並々ならぬ姿勢が伝わってきております。
それに呼応して、日本政府も経済産業省がガソリン価格の上昇に歯止めをかけるべく、補助金を出す緊急対策に乗り出すとのニュースが伝わってきておりますが、更にこれからの冬に向けて軽油、灯油までも適用しようと取り組んでおります。
その傍ら、一大消費国である中国にも戦略備蓄の放出のニュースが出てまいりました。中国国家糧食物資備蓄局はエネルギー価格の安定化に向けて段階的に戦略石油備蓄を放出する方針を固め、24日に放出する原油738万バレルの入札を実施します。因みに、中国の戦略石油備蓄放出の入札は今回が初めてであります。
各国のこれらの政策を受けて、少なくとも原油、天然ガスは目先大きく下落してきております。WTI原油は1ヶ月の持ち合いから80ドルを割れてきており、天然ガスに至っては、高値持ち合いが2ヶ月に及びましたが既に20%下落しており大方天井打ちかと思われます。
さて年末相場に向けて米国市場は相変わらず強い展開でありますが、年末商戦を意識した小売売上高は好調に推移しているようなので、好調な企業決算を追い風に更にヒートアップして来そうです。
遅れて東京市場も既に個別銘柄は結構動いておりますが、週末の岸田政権による経済対策骨子のまとまりからボリュームアップしてくるものと思われます。
銘柄により売込みが増えているものが目立ち逆日歩銘柄がまたぞろ増えているようですが、上るべき不安の崖の肥料がまかれ始めているのでしょうか…。
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