東京市場は2月の3万円から暫く上値の重い展開が続いておりましたが、先週からの急落で持ち合いを下に離れる形となり、チャート形状からすると悪い形となってしまいました。弊社に時折お電話いただく投資家の方で、超ネガティブ・アナリスト(ご自身でそう名乗っております)がいらっしゃいますが、昨日も電話をいただき「ほれ、バブル崩壊やで!早う売らんと大変やで。」とのご教示をいただきました。
今回の相場を早々にバブルと決め付けておりましたので、どうしてバブルなのか、そのバリュエーションは?金利との兼ね合いは?と基本的な質問をしても答えはありませんで、単純にNYダウ、日経平均の値段だけを見て判断しているようでした。
株価はその時々の材料で日々の上げ下げを展開いたしますが、基本的に業績に収斂されるものであり、バブルとの判断は利益水準を極端に上回り逸脱した株価水準であると判断できます。日本の身近なところでは1989年3万8957円を思い起こしますが、当時のPERは80倍まで買われておりました。余談ですが、その後の日本はバブル経済とは程遠い失われた30年となりデフレに突入して行きます。
もともと企業同士の持ち合い構造がある日本株のPERは、米国などに比べて高く推移しておりましたが、2000年以降持ち合いが解消され、水準訂正が進み18倍前後で標準的に推移するようになりました。
しかしながら、コロナ禍以降大きく落ち込んだ企業業績から、PERは割高推移となり、その後業績回復を見込んで株価は走りましたが、現実にどの程度の利益回復かは読み込めずPERは24倍ぐらいまで上がり、これがバブルと言われた根拠かと思われます。
しかしながら、ここが日本企業の底力であり2021年3月期の実際の業績発表からPERは一気に14倍台まで低下し、ほとんどフェアバリューとなっており、2022年は更に回復を見込みます。テクニカル重視でチャート形状を重視する投資家も、このバリュエーションは押さえておいた方がよろしいかと存じます。
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