「貿易戦争」と云う言葉がマスコミを賑わせています。貿易戦争とは、自由貿易のもとで一方の国の産業が打撃を受ける「貿易摩擦」が引き金となり、国家間で輸入制限などの応酬が続く状態を云います。
各国は輸入量の上限設定や関税の引き上げにより、貿易赤字の短期的な減少が見込めますが、保護主義が広がることにより輸出産業の弱体化や経済成長の阻害、不況につながるリスクのつながるリスクも高まりかねません。
第2次世界大戦後は日本を巡る貿易摩擦が目立ちました。高度経済成長期の1960年代以降に日本の輸出が急増し、主に米国との間で鉄鋼や自動車、半導体と云った品目を巡る貿易摩擦が起こりました。
日本は米国などでの現地生産の拡大の他、米やオレンジの輸入自由化受け入れにより、決定的な貿易戦争に直面することは回避してきました。
保護主義と貿易戦争の広がりが第2次世界大戦の一因になったとの反省から、国際社会は48年に関税貿易一般協定(GATT)を発効させました。95年には国際機関の世界貿易機関(WTO)が発足、自由貿易のルール作りや裁判に似た紛争処理制度を設けています。
ただ全会一致を原則とするWTOでのルール作りは難航し、近年では2国間で結ぶ自由貿易協定(FTA)を重視する国が増えています。
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