最近、家庭用燃料電池、燃料電池自動車(FCV)、水素ステーションなど、水素が話題になることが増えています。水素は、石油随伴ガス、製鉄所や工場からの副生ガス、再生可能エネルギーでつくった電力など多様な源から様々な方法で製造できる2次エネルギーです。
同じ2次エネルギーである電気と異なり貯蔵・輸送ができることもメリットとされています。今、「水素社会」の実現に向けて、水素供給インフラ整備の動きが活発化しています。
水素の貯蔵・輸送方法として実用レベルないしそれに近い物には(1)パイプライン(2)圧縮水素(3)液化水素(4)有機ケミカルハイドロイド(OCH)法の4つがあります。
ただし、パイプラインは、コスト面から局地的な利用に限られますし、圧縮水素は、輸送効率の面から長距離輸送に向かず、液化水素は、専用設備が必要の他、再利用技術確立などの課題が多々あります。
一方、OCH法は、液体の有機媒体に水素を反応させ、異なる科学物質に変換、安定化させて輸送する方法で、水素を常温・常圧で扱うことができるので、より安全に、大量貯蔵・長距離輸送ができます。
16年3月に改訂された政府の“水素・燃料電池戦略ロードマップ”では、FCVを20年までに約4万台、25年までに約20万台導入し、水素ステーションを20年度までに約160か所、25年度までに約320か所設置することを目指しています。
20年代後半での水素発電と大規模な水素供給システムの確立を目指し、30年ごろには水素発電の本格導入を見据えています。
日本にとって、水素利用はエネルギー自給率向上と二酸化炭素(CO2)排出削減の可能性を秘めた有力な選択肢の1つと見られることから、本格的なインフラ整備の実現が待たれます。
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