パッシブファンドは1976年、米国バンガード・グループ創始者であるジョン・ボーグルが個人向けに販売したのが初めで、既に45年の歴史がありますが、株価指数の構成銘柄をまるごと保有して、ベンチマークとなる市場指数並みの運用成績を目指そうとするものです。
個別銘柄を分析、研究し組み入れて行くアクティブファンドに比べて低コストで、しかもリーマンショック以降ほぼ右肩上がりの相場では、指数構成銘柄に分散投資するパッシブファンドの優位性が勝り、アクティブファンドからの資金流出が続きました。
世界のファンドに占めるパッシブファンドの運用は2020年末に10.6兆ドルで、数字を遡れる2007年以降7.4倍に膨み、かたやアクティブファンドは13.5兆ドル、世界の株式ファンドのパッシブ比率は44%となっております。
このパッシブ比率は米国が世界標準を上回ること50%ですが、日本は73%にも達します。ここまで行くと少々問題で構成銘柄を一括りに買ったパッシブファンドは資金が流出しない限り持ち続けます。これは持ち合い構造と一緒で、固定株となり流動性を下げます。しかも日本の場合市場指数と一致させるため大引けでの注文に偏り、一日の売買代金の14%を当てております。
こんなパッシブファンドの運用をノーベル経済学者賞のロバート・シラー教授は、コストをかけて企業調査をし、銘柄分析をするアクティブファンドの努力へのタダ乗りだ、と喝破しました。
現在明らかにパッシブファンドの運用の弊害が、特に比率の高い日本でも問題となっております。パッシブ運用がそのまま固定株となり、流動性低下を招きボラティリティを高めてしまっており、市場の適切な流動性を志向する、来年度の市場改革に逆行する様相となっております。
来年の市場改革に向けて、市場の流動性がひとつの目的でありますゆえ、このタダ乗りパッシブファンドの運用にもメスを入れるべきと思われます。
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