先週末に弊社のお客様で自民党広島県連の幹部の方のお話をさせていただきましたが、そのお客様も困惑されていた岸田総理の所信演説。あの内容では大臣就任早々選挙で落選などという珍事も起きかねないと申し上げました。
懸念材料第一点が「分配無くして成長無し」、先進国で群を抜いて低成長の日本で、成長率を上げることが唯一分配を増やす方法であり、分配の原資である成長が高く伸びることで、目標とする令和版所得倍増計画が実現しうる訳です。
第二点が金融所得課税の増税です。現在低成長に悩む日本では所得が伸びない分、資本のリターンの方が大きいのが実情です。金融所得に対する増税は、ここに至るまで1000兆円を超える現金、預金を有効に使い経済を回すために「貯蓄から投資へ」の国の政策に逆行するもので全く整合性に欠けます。
金持ちは株を多く保有し、値上がり配当などで恩恵にあずかれるから、そこから税金を巻き上げ分配するとでも思っているのか、仮にそうだとすればそのポピュリズム的発想自体が貧困極まりない考えであります。
鉄の女として英国経済を再生させたマーガレット・サッチャー元首相は「金持ちを貧乏にしても、貧乏人が金持ちにはならない」と喝破しました。
やっと日本版小額投資非課税制度(NISA)が根付きつつあり、日本の個人投資家の数も若い世代を中心に増え始めている現状を見れば、今こそ「貯蓄から投資」への流れを加速させるべき時期で、一歩進めて投資に対する減税があってもしかるべき時期に、岸田総理の発言は真逆のことであり看過できません。
ただ、こんなことを書いている矢先に金融所得税は今すぐいじる訳ではないと、発言を撤回しております。広島県連のお客様がおっしゃられるように舞い上がってしまったのか、若い自民党議員の危機感を察知したのか、定かではありませんが慌てて火消しに走っている感が拭えません。
一度投げた言葉と石は返ってきませんが、まずは来る総選挙の勝利が必須です。昨日の日経ヴェリタスで米資産運用大手ティー・ロウ・プライスのティム・マーレイ氏は「政治の安定に加え、バリュエーションの面でこれほど投資妙味のある国はない」と日本株の割安感を指摘しております。
弊社へのお問い合わせは、お気軽に03-3868-2801までどうぞ。