中国の格差拡大は日本の比ではありません。日本ではよっぽどでない限りはあらゆる国民に平等にチャンスはあります。言い方は悪いですが、多少貧しい家に生まれても、勉強次第では東大に入ることもできますし、国家公務員の最高峰財務省に入省することもできます。更にはアイディアと努力によってスはタートアップ企業も起こせますし、そこに投資してくれるユニコーンファンドもあります。
しかしながら、中国は生まれた時点で既に格差は存在し、地方の農村に生まれればそこから勉強し北京大学へ進み、中央政府で共産党員になるなどという夢は困難極まります。農村出身者は農村戸籍者となり、都市部で生まれた都市戸籍者とはもともと同列に扱ってもらえず、両者はもともと働く場所も違えば、給料面でも雲泥の差が存在します。
この農村戸籍者が人口の6割以上を占めることから、この格差により常に不満が鬱積している訳で、ちょっとしたキッカケで暴動が起きるのはそのためです。中国共産党も現在の「共同富裕」政策に見られるように格差解消に取り組んでおりますが、道半ばであることは否めません。
その傍ら都市戸籍者の間でも過酷な競争社会であり、寝る間も惜しむ並外れた努力で受験戦争を勝ち抜いた若者の間でも格差が広がり、階級が固定したことから余程親の代から金銭、人脈に恵まれていないと、有名大学を卒業しても安泰とは言えない状況です。
毎年有名大学を勝ち組とされる若者が800万人卒業します。すべての時間を勉強に費やし受験戦争を勝ち抜き、大学に入り無事就職しても、その先にまた格差があり、996(朝9時から夜9時まで週6日勤務)や007(午前0時から深夜0時まで週7日勤務)と言われる過酷な労働をしても都会で家一つ買えない。
勝ち組の中でも希望を失った若者が六不主義(家を買わない、車を買わない、結婚しない、子供を作らない、消費しない、頑張らない)を唱え、「寝ていれば転ぶこともないと」、最低限の生存状態を維持すればいいという気持ちになっています。アグレッシブに成長してきた中国ですが、恒大集団の件も含めて至るところに綻びが現れ、大きな曲がり角に来ているように思われます。
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