岸田総理、先週末の金融所得増税の方針の撤回を受けて、400円強高く引けたことは喜ばしいが、朝方は200円強安く始まったことは少々意外でした。
先週末の岸田発言の撤回と裏腹に、財務省の矢野事務次官が選挙戦での政策論争を「バラマキ合戦のような政策論」と批判し、国家財政が破綻すると訴えました。政治家の政策論争に現職の事務次官が注文を付けるというのも異例中の異例です。
この矢野事務次官という方は、戦後初めての一橋大学出身の事務次官であり、当時優秀な人間が揃ったと言われ、「ロクマル」と命名される昭和60年入省で、その中でも超優秀な東大法学部のライバル二人(この二人は筑波大駒場高校、開成高校出身で、成績は一番以外取ったことがないというエリートです)を蹴落として出世した逸材です。
出世の背景は安倍元首相と同郷であるとか、当時菅官房長官の秘書官を務め、政治との距離が近いと度々指摘されておりましたが、その近さゆえの今回の問題提起だったのか定かでありませんが、これが財務省の本意でしょう。
松野官房長官も選挙を控える神経質なこの時期にとの思いでしょうが、火消しに勤しんでおりましたが、出処進退に至るかもしれません。ただこの矢野発言は高市政調会長が 「基礎的財政収支黒字化に拘り、本当に困っている人を助けないとは、これほどばかげて話はない」と喝破しております。
更に、バラマキと指摘される数十兆円の経済対策も「分配で消費マインドを高めていけば税収となって帰ってくる」と綴っております。この財政論に対する古典派経済学、リフレ派経済学での議論は事欠きませんが、筆者もこのコロナ禍以降、需給ギャップが22兆円もあれば財政出動して需要を喚起するのが政府の役割と考えます。
さた、昨日申し上げました通り、総選挙で政権が安定してくれば、バリュエーションで魅力的な東京市場は再び外人の買いが入ってまいります。昨日はまずは先物に資金が動きましたが、今後は経済対策の中身で物色対象が絞られます。注目は国策銘柄に。
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