米国では利上げサイクルが終了し、PCEコア指数やPPI、CPIの伸び率は落ち着きつつあり、インフレは一定程度鈍化傾向にあるようです。更に懸念された雇用環境も新規失業保険申請件数やNFP(非農業部門雇用者数)の伸びは鈍化傾向にありますが、雇用崩壊ではなく過熱感の調整レベルと思われます。
大規模なレイオフや失業率の急上昇なども見られておありませんので、労働需給の穏やかな正常化との解釈もできます。消費は底堅く、企業の投資意欲も冷えておりません。この環境でのFRBの利下げはマーケットにとってはポジティブ材料です。
当欄でも再三指摘しておりますが、今回の6ヵ月ぶりの米利下げはインフレの鈍化と景気の下支えの両立を目指すもので、現状の雇用と消費の強さを考慮すれば十分ソフトランディングが可能であると思われます。
FRBは予防的利下げと喧伝しておりましたが、背後には少なからずともトランプ政権の圧力があったと思われ、中央銀行の独立性を担保しつつ、政権をも気遣った苦しい形かと思われます。
それでもマーケットは前向きに捉えており、主要三指数は高値を更新しております。米株高は日本にも結果的には好影響と思われ、懸念された米利下げからの円高の構図も杞憂となりそうです。
日銀の政策も今回は利上げ無しとなりましたが、金融正常化に対する圧力が強まる中で、国内景気は実質賃金の減少は続き景気の強さがありませんので、しばらくはジレンマが続くと思われます。
先週末は利上げ見送りでもETFの売却が伝わると、一斉にアルゴリズム取引のスイッチが入り、僅か2分で2%の急落となり売買代金も8兆円を超える大商いとなりましたが、中身を吟味すれば月曜日にはそっくり戻し新高値の上昇となりました。相変わらず日々の波乱要因はお約束事のように起こります。 しっかりと冷静に事象を分析し、シートベルトを締めてまいりましょう。
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