先週末、米国で驚愕の数字が発表されました。新規失業者申請件数と雇用統計。前者が664万件で、これは実に平時の30倍の数。また後者においては70万人減とこれもリーマンショック以来のとんでもない数字が発表されました。
「いやー、これは大変だ!大恐慌になっちゃう。」これだけ短期に、これだけの値幅の急落ですから、そんな思いを抱いた投資家もおられて当然です。たまたま昨日の東京市場は、ついに安部政権が緊急事態宣言を固めたとのニュースで、あく抜け感から薄商いのなか大幅反発しましたが、コロナショックの先行きが見通せるようになった訳ではありませんから、冷静に数字だけを見れば頷けます。
米国の雇用状況は、その80%がサービス行ですから、人の動きを止めた新型コロナウィルスが、このような雇用の厚いところを直撃したのは確かです。ただ今回の失業者申請件数と雇用統計の数字は、若干普段と違う、素早く出された緊急経済対策の特別措置を差し引いて考えなければいけません。
米国の失業保険は失業と同時に週500ドルが支給されますが、実施された緊急経済対策のおかげで、今回特別措置としたその額に600ドルが上乗せされます。つまり1100ドルが毎週支給されるわけです。
しかもその期間は七月までの支給です。1100ドルといえば円環算で12万円、一ヶ月で約50万円のお金が貰える訳です。今回の緊急経済対策が実に手厚いものであるかを物語っておりますが、不謹慎な言い方をすれば、まじめに働くよりいい額だ、と思う労働者もいるんじゃないかと邪推します。それをあたりの事情も十分考慮したほうが正しいかと存じます。
株式市場に戻りますが、昨日これは注目ポイントと申し上げたVIX指数、見事に先週末と昨日の急落で、節目の50を切ってきております。これは金融緩和により膨れ上がった空前の規模の株式購入待機資金を抱える「物知りな株式市場」が、コロナ騒ぎの最中でも、我々に先行きを示唆しているよう感じるのは筆者だけでしょうか。
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