先週末、米国の5月雇用統計が発表されましたが、市場予想の65万人には届かず、55万9000人増という結果となりました。しかしながら雇用者数の伸びは前月から倍増し、失業率も5.8%に改善しました。
悪い数字と良い数字混在ですが、ワクチン接種が高水準を維持し、経済が再開している米国では対面サービスが徐々に改善していることから、一面人手不足であり賃金の伸びも3%ほど伸びておりますので、当然インフレ懸念の台頭かと思いきや、懸念の長期金利は迷った挙句、前日の1.63%から1.55%へ急落しております。
FRBは昨年12月時点で、労働市場の大幅な改善が見込まれるまで超緩和的政策の引き上げに着手しないと表明しており、その時の雇用はパンデミック前を1000万人下回っており、今回の発表時点でも未だ760万人の雇用が失われたままであり、労働参加率も依然低い状態であります。
テーパリング議論は外野を中心に盛んに行われておりますが、当のFRBに姿勢はこの回復力にさほど自信を深めていないようです。各数値を総合し「9月のFOMC(米連保公開市場委員会)まで明確なテーパリング開始シグナルは無さそう」(バンク・オブ・アメリカの経済担当責任者ミシェル・マイヤー氏)との見方も出てきております。
ただFRBの本意とは別に株式市場はテーパリングに怯えているのも確かです。2月、3月、5月の金利上昇時の急落で、その時株式市場から逃げた資金は戻り切っていない。逃げた資金の置き場がMMF(マネー・マーケット・ファンド)ですが、このMMF残高が460兆円に上る規模なったと先日話題にしましたが、実は2日時点で既に500兆円になったそうです。
これだけ待機資金が積みあがっているにもかかわらず市場は最高値目前、「識者ほどよく間違える」のが株式市場と良くいわれます。筆者は決して博学な識者ではなく、凡人ゆえに物知りな株式市場の言いたいことに素直に耳を傾けようとしております。
待機資金は再び運用難から株式市場に戻るのではないでしょうか。
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