先週末、植田次期日銀総裁の所信聴取が行われましたが、今までの黒田日銀総裁による金融緩和政策の効果を見守るという路線の継続を表明し、市場は安心感なら大幅高となりました。
当欄でも取り上げましたが、昨年夏の日経新聞のコラムでの発言は、「日本における持続的な2%インフレ達成への道のりはまだ遠い」、「金利引き上げを急ぐことは経済やインフレ率にマイナスの影響を及ぼし、中長期的に十分な幅の金利引き上げを実現するという目標を阻害する」としております。
傍ら「予想を超えて長期化した異例の金融緩和の枠組みは、どこかで真剣な検討が必要」とも述べております。
また、8年間に渡る日銀政策委員としては、2000年(速水総裁)、2006年(福井総裁)の2回に渡って利上げに反対したことからも、特定の理論で整理出来るほど経済や金融の現実は単純ではなく、局面に応じて有効な理論やツールを柔軟に応用すべきとの持論を持っておられるようです。
この10年アベノミクスの功績とも言えますが、安倍黒田タッグで株式の時価総額は300兆円から700兆円まで増え、為替は80円から150円まで円安となり、雇用は当時より400万人増えております。
更に、2度に渡る消費増税という厳しい環境を経ても金融緩和路線は景気拡大を後押しし、税収は10年前の5割増の65兆円に上り、現状の物価上昇率も食品・エネルギーを除くコアで1.7%、各企業の賃上げ機運を高まっており、明らかにデフレ脱却の道は見えて来ております。
黒田総裁就任時よりも植田新総裁就任時の方が大分発射台は上がっており、実務派の副総裁2名で固めた植田新体制は大いに期待できるのではないでしょうか。
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