過去から今現在までに発行された紙幣で一番大きなものはどこの国のものかご存知ですか?
答えは「中国」です。
14世紀の明の時代の「大明通行宝鈔」が最大とされており、A4判よりもひと回り大きい。東京・北区のお札と切手の博物館で実物を見ると、あまりの大きさに圧倒されます。
縦長のこの紙幣は銭100枚の束が10個描かれており、朱色の大きな政府印も上下に2つ押され、それらを中国皇帝の象徴である竜の絵が囲んでいます。大国意識からか、お金にも存在感を誇示する姿勢が表れているように見えます。
その後、お札の歴史は欧米が主役になりました。
産業革命で物の売買が盛んになり、紙幣の需要の急増、模様を複雑にするなど偽造防止の技術も進歩しました。
第2次大戦後、貿易決済や金融取引に広く使われる基軸通貨は英ポンドから米ドルへ移りました。その体制が固まった1944年のブレトンウッズ会議の合意から70年が経ちます。
米国は世界の政治経済への影響力に陰りが見えるものの、ドルは今も基軸通貨の座にあります。その座を脅かす通貨として欧州ユーロもありますが、気になるのは急速に経済力をつけてきた中国の人民元です。
目茶苦茶な国ですが、この国はもともとお札と縁が深いのです。材料の紙が発明され、木版や活字印刷の技が育ったのも中国です。その地力は侮れないかも知れませんね。
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