欧州連合(EU)に加盟する英国が単一通貨ユーロと並んで参加していないのが『シェンゲン協定』です。協定への参加国間であれば、国境審査なしで自由に出入国ができます。
人の移動の自由を保障することで、国境のない大きな市場をつくる狙いで1995年に発効しました。
現在、EU加盟国のうち22か国に加え、アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタインの計26か国が参加しています。英国の不参加は「国境管理は国家主権の中核」という主張からです。
シェンゲン協定の理念を揺さぶるのが難民や不法移民の問題です。2011年、北アフリカ各国の政変を受けて多くの難民が流入しました。
そのため、EU内で国境審査の復活を求める声が上がり、英国も警戒感を強めました。難民や不法移民がギリシャやハンガリーに入国後、フランスまで国境審査を受けずに移動し、英国に不法入国するケースが増えたからです。
シェンゲン協定に参加していない英国は独自の入国管理はしているものの、EUの一員である限り、域内から働きに来る移民を拒むことはできないのです。移民の急増で雇用が奪われると云った不満と、密入国者への恐怖が重なり、EU離脱を支持する世論となったのです。
英国を除くEU27か国は先日の声明で、英国がEUの単一市場の恩恵を受けるには、労働者の移動の自由などを受け入れなければならないと強調しています。今後の離脱交渉で、移動の自由の保障は引き続き焦点となります。
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