香港に国家安全維持法が施行されて以降、香港経済に微妙な変化が出始めております。香港在籍の外資系企業の数がそれまで右肩上がりであったものが、11年ぶりにマイナスに転じました。
日経新聞調査によりますと、米運用大手バンガード・グループ、投資情報サイトモトリーフールが香港からの撤退を発表、同じく米運用大手ベアリングスは運用拠点をシンガポールに開設、ドイツ銀行も地域トップの本拠地を香港からシンガポールに移しました。
業種別でみると金融関連が目立ち、金融、銀行、保険で76社に上りました。西側資本(ここでは、あえて西側資本と表現させていただきます。)は自由な資本の移動を原則としますので、現状「一国二制度」が失われつつある香港では、司法の独立、政治的安定が担保されないとの判断からであります。
その対極で存在感を高めているのが中国本地企業です。西側資本とは裏腹に中国本土企業は香港の国安法で、かえって安定を取り戻した香港での投資に前向きです。
明らかに香港政府は政治だけでなく経済でも一国制度に舵を切り始めました。
ここで日本政府には俄然アクセルを踏み込んでもらいたいのが、アジアの金融ハブセンター構想であります。菅政権は今回の成長戦略の一環で「国際金融都市構想」を掲げております。
具体的には、現状国際金融センターの香港から優秀な人材、金融機関の流出が想定されており、その受け皿となるための法整備が整いつつあります。
相続税、法人税、所得税、課題でありましたが、相続税は入国後海外で築いた資産には課税しない、法人税は役員に支払う業績連動の報酬を損金扱いにする、所得税は業績連動型報酬の最高税率を45%の給与所得ではなく、20%の金融所得とするなど、大胆な施策変更に動き始めております。
当欄でも以前から指摘しておりましたが、東京の国際金融都市構想がいよいよ動き出しそうであります。
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