日銀による為替介入は意味があったと申し上げましたところ、早速お客様より「日銀のやっていることは自ら円安を招く金融緩和をしておきながら、円安になったらドル売り円買い介入をするという矛盾する政策ではないの?いわばアクセルとブレーキを一緒に踏んでいるようなものでしょ」とのご意見をいただきました。
少し紙面をいただきます。正に現象面だけ見るとその通りですが、まず米国を中心として起こっているインフレは需要超過によるところであります。従って景気を多少冷やさなくてはなりませんので、当然金融は引き締め気味に操作し金利は上がります。
かたや日本の消費者物価が上がったといっても米国の9%に対し2%、しかもコストプッシュ型ですから景気は一切過熱しておりません。つまりデフレを脱却していない中で、消費者物価が2%を超えてもGDPデフレーターは未だにマイナス圏であります。従って金融は緩和方向に誘導するのは正解です。
日銀が景気浮揚も目指し緩和政策を実行しているのになぜ介入したかは、為替があまりに投機筋の玩具になっているからです。輸出入業者はリスクヘッジのため為替予約を入れますが、それに対してもこの乱高下は好ましくありません。
財務大臣が投機筋と対峙していると申しておりましたが、投機筋は必ずロスカットの値を設定しておりますので、そこを狙ったのでしょう。日銀は円高にしようとしているのではなく、投機的な動きを牽制したということです。
それも米国市場で介入したということは米国政府との合意ありと考えるのが自然で、恐らくインフレを抑える米国にはドル高はメリットと言われておりますが、企業決算の中にはデメリットも見られ始めたことも関係していると思われます。
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