昨日のフォルクスワーゲンのEV戦略に代表される自動車業界ですが、特に欧州は一歩先を歩んでおり、そこの米国ゼネラル・モーターズも追随し、フォード・モーターも欧州での自動車販売は30年にすべてEV化すると発表しました。
それほどまでにEVは環境にやさしいのか、日本自動車工業会の豊田章男会長は「EVは走行時に二酸化炭素(CO2)を出さないが、製造過程を考慮すれば、欧州に比べて火力発電の割合が高い日本では必ずしも環境にやさしいとは限らない。」との見解を示しました。
確かに、EVは走行時にCO2を出しませんが、基幹部品である蓄電池はCO2の塊であり、その材料のリチウムの発掘、精製時には大量のCO2を発生します。また、EVの生産段階のCO2排出量はガソリン車の2倍という試算もあります。
原材料の調達、生産、使用、廃棄まで全体のCO2排出量を評価するライフサイクルアセスメント(LCA)の考えから排出量を少なくするには、電池の容量を少なくしなければならない。しかしながら、少なくすると走行距離は短くなり充電回数も増える、では電池容量を増やせば今度は「エコ」から離れるという、正にジレンマに突き当たります。
豊田章男会長は、それでも全車EVにすると、夏の電力使用ピーク時には電力不足に陥るとの見解を示しました。
また電池材料のレアメタルもリチウムに関しては代替物質の研究が進んでおりますが、ニッケルは有力な代替物質が見つかっておらず、EV向け需要が拡大するようなら価格上昇を招きかねず、更に同じレアメタルのコバルトはコンゴ民主共和国が世界の5割のシェアで加工は中国が6割と集中しており、安定的に調達できるのか…。
昨日「フォルクスワーゲンのEV戦略」で地球環境にやさしい、CO2排出量ゼロのローダマップを掲げましたが、これだけ単純に並べても、我々でも分かるような課題は山積しております。大きな方向性は素晴らしくもっともらしいのですが、国、地域、自動車業界で落とし込み実行して行くには、他の代替エネルギーと絡めるなどのきめ細かな戦略的ロードマップと更なる技術革新が待望されております。
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