日銀が金融緩和の一環として上場投資信託(ETF)の買い入れを始めてから10年を経過しました。
「え、そんな前?」と思われるかもしれませんが、デフレ進行中の白川前日銀総裁時代の2010年12月から、株価の底割れを防ぎ、経済の好循環を創出し、物価上昇につなげる目的で購入枠4500億円で始まりました。
その後、安倍政権の時代に黒田バズーカの名の下、度重なる追加緩和で購入額は拡大の一途であり、ニッセイ基礎研究所の調査では昨年末で既に45兆円に膨れ上がっているようであり、その含み益も15兆円を上回ったようです。
世界各国このコロナ禍で規模の大小は問わず、各中央銀行は同じようなことをしておりますが、日銀は既に100銘柄ほどの筆頭株主になっており、その歪んだ構造に議論が沸いているのも事実であります。
その日銀の買い入れ姿勢ですが、午前中にTOPIXが0.5%下落すると必ず100%の確率で午後には買っていたものが、2月以降動かない日もあり明らかに変化の兆しが見て取れます。
おそらく3月の日銀政策決定会合で今までのイールド・カーブコントロールやETF購入の手法を変えてくるのではないか、その布石として2月以降の下げ過程でも買ってこない、因みに2月26日の1200円安の時も辛うじて動きましたが、規模としては以前ほどではありませんでした。
同ニッセイ基礎研究所の出井慎吾氏は、目標値6兆円を廃止し12兆円の上限のみの設定で柔軟に動けるようにするのではないかと指摘しております。
保有構造の正常化に向けた出口論が囁かれるようになり、そのまま市場で売却などということはあり得ませんが、いよいよ正常化に向けたターニングポイントに差し掛かったのかもしれません。
弊社へのお問い合わせは、お気軽に03-3868-2801までどうぞ。