来年四月の任期満了に向けての置き土産かは分かりませんが、一昨日の日銀の長期金利操作の一部見直しは業界関係者が誰一人予想していなかったことから、外国人投資家不在の薄商いの市場にサプライズを与えました。
昨日も申し上げましたが、同時に発表された国債の買い入れ額は月間7.3兆円から9兆円に拡大、マイナス金利政策は維持していることも踏まえるととても緩和縮小とは思えないのですが…。
更に黒田日銀総裁は記者会見で、「市場機能の改善を図る」としたうえで、「金融緩和の効果をより円滑にするためのもので利上げではない」と強調、その上で「緩和の出口戦略の一歩ということではない。議論するのは時期尚早だ」と明言しております。
ただ、市中金利を年限ごとに並べたイールドカーブを見ると、10年前後だけが不自然にでこぼこの状態で企業の起債に影響するので動いたというのが背景のようです。
しかしなぜ今か、いろいろ憶測が飛び交いますが、来年四月のポスト黒田の前哨戦かの見方もありますが、地道な緩和政策で賃上げの機運が出てきた中で、防衛費の増額を増税で賄おうとする岸田内閣に対する牽制球とも取れます。筆者はこれが一番近いと思いますが…。
ただ今後を考慮すれば、長期金利の変動許容幅拡大で日本の長期金利はマイルドながら上昇傾向をたどる可能性があります。更に米国のインフレもピークアウト感台頭ですので日米金利差縮小で為替は円高傾向です。ただ既にドル円は130円まで進んでおりますので、目先の水準にはもう届いたと思われます。
物色対象では円高メリット株が既に動き始めております。さすが「生き馬の目を抜く兜町」機を見るに敏であります。
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