米国市場はFOMCを前に薄商いで方向感のない状態が続いており、先週末の強い雇用統計がミソとなっているのは明白ですが、この雇用統計も数字通りに受けていいのかこれも疑問です。
最近の米国では富裕層と言われ人以外は、仕事量並びに賃金の減少から複数の仕事を掛け持ちで働く層が明らかに増えております。1人の労働者が3つの仕事を掛け持ちすれば雇用統計では3人とカウントされます。
18万人予想が27万人とその開きを見ると納得する面があり、だからこそこの雇用増でも失業率は増加しているものかと考えられ、やはり徐々に米国景気はインフレ率が下がりつつ加熱した労働市場も緩和に向かうものと思われます。
さて同じく注目の日銀政策決定会合ですが、本来であればやっとデフレの出口に差し掛かった現状で、利上げなどナンセンスであると考えます。賃金の伸びが29年ぶりと話題になりましたが、物価を差し引いた実質賃金は過去最長の25カ月連続マイナス。
4月の消費支出が前年同月比0.5%増で14カ月ぶりにプラスに転じ明るい兆しとされておりますが、前年になかった3連休が外出を促し外食などが増えており、これを計算した季節調整済みの前月比では1.2%減です。
政府の発表する指標は嘘があるとは言いませんが、恣意的に表に出したくない数値もあり、この消費支出など最たる例であります。
この環境で日銀が利上げを選択するとは思えませんが、多少政治に忖度することを前提に考えれば、それでも十歩譲って国債買い入れ6兆円から5兆円というところと思われます。
これではマクロの方向感は出ず、木を見る相場に変わりないと思われます。
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