先週末、注目の5月の米雇用統計が発表されましたが、非農業部門雇用者数は39万人増と市場予想の32.5万人増を上回る強い数字とともに、平均賃金の伸び率は鈍化するものと思われていたところ、前月比0.3%増と4月に続いて高い伸びとなりました。
失業率は変わらずの水準でありましたが、物価の指標にインフレピークアウト感の兆しが見られた後だけに、強い雇用指標から再び積極的な金融引き締めへの警戒感とともに、市場の失望感もただよい先週末の米国市場は3指数ともに前日の上げを帳消しにする下落となりました。
はっきり申し上げてインフレが進むのか、ピークアウトが近いのか非常に判断の難しいことには変わりありません。先週はアトランタ連銀のボスティック総裁の9月には利上げ中止発言、更に、セントルイス連銀のブラード総裁は来年には利下げとの発言。
これに対し、早速先週末にはブレイナードFRB副議長の9月の0.5%利上げを肯定する、両総裁の発言を牽制するタカ派発言、更に雇用統計発表を受けて、クリーブランド連銀のメスター総裁も9月の0.5%の利上げを支持する発言。
物価と雇用の番人であるFRBでも、タカ、ハト入り乱れた発言が繰り返され、現状の金融政策の困難さが伝わります。6月FOMCでの0.5%の利上げは既に織り込んでおりますので、今回雇用統計発表でも未だモヤモヤが取れない状況は今週の5月の消費者物価指数の発表まで持ち越しのようです。
従って、現状マーケットの最大の関心ごとでありますので、米国市場のレンジ内での乱高下はまだしばらくは続きそうであります。
世界の運用資金は分かり易いところに集まります。米国に比べて金利が上がらず、今回新しい資本主義の骨格が見てきた東京市場に興味を示すのも必然です。先週末の投資主体別売買動向で外国人投資家が、先物市場で再び大きな買い越しに転じてきたのはその表れかと思われます。
岸田総理の新しい資本主義。再び国策銘柄に乗ってまいりましょう。
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