米国では3月のシリコンバレー銀行の破綻以降、FRBは危機の広がりを予防する目的で、銀行向けに新たな流動性供給措置である「銀行ターム・ファンディング・プログラム(BTFP)」を施行しております。
このBTFPは銀行が保有する債権を担保として差し入れると、預金や資本のポジション強化に必要な資金をFRBが供給する仕組みですが、この担保債権は最終的にFRBのバランスシートに留まるため、結果として利上げの効果は薄まり、利上げしながら金融緩和に転じているともとれる訳です。
緊急を強いられる銀行システムの安定と、物価高を押さえるための引き締めの相反する政策のバランスをとるための致し方ない選択とは言え、難しい舵取りは当面続きそうです。
東京市場は驚くほど強い展開であります。先週末の米国高から、唯一残されていたダウ30種平均が強気相場入り目前となり東京市場を後押ししましたが、更に、寄り前に発表された6月の日銀短観は7四半期ぶりに景況感の改善が報告され、市場センチメントを強気に傾けました。
物色対象も日銀短観の改善から設備投資計画が13.4%増の伸びとなったことから、設備投資関連銘柄が大きく伸ばし、物色の資金も先週11週ぶりに売り越した米系資金から、昨日の海外マネーは欧州系の資金が多かったようで、買いの資金の多様化も進んでおります。
もう少し調整が入っても良さそうなものですが、押し目待ちに押し目なしの状況で、日経平均は6月16日に付けた3万3706円を上回り、33年ぶりの高値となりました。
上昇の勢いは治まらず節目の3万4000円回復への期待も高まりそうですが、更なる物色対象の多様化を期待したいところであります。
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