先週の米国市場は、仮に日本時間木曜日の夜中に流れた「金融政策の修正を議論する」とのニュースがなければ、1897年以来126年ぶりの連騰記録となっていたと思われます。米国では物価上昇率の鈍化が鮮明で、利上げの打ち止め感も現実味を帯びており、記録的な失業率の低さ、堅調な消費環境からリセッション懸念も大きく後退しております。
先週の中央銀行の週で、ECBも0.25%の利上げをしており、欧州でもユーロ安、金利低下が進み利上げの打ち止め期待も台頭し、ドイツ、イタリアなどの株価は最高値を更新し、欧州の主要株価指数「ストックス600」も2022年1月以来の高値となっております。
数々のハードルを乗り越え日欧米諸国は株高の流れに乗りつつありますが、東京市場だけは30年来株高の継続性には疑問符が投げ掛けられ続きましたが、今回はこれまで述べて来た要因からも世界を牽引しそうです。
注目の日銀の金融政策は、今回1%までの長期金利の上昇を許容しましたが、銀行業界からの突き上げと円安による輸入物価の上昇に配慮した面が大きく、金融緩和が終わるわけでもなく、無論引き締めでもありません。
植田総裁は、かねてから動き始めた賃上げの波が定着する、ディマンドプルインフレを確認するまでは緩和姿勢を継続すると申しております。すると金融政策の本格的変更は来年の春闘を見てからかと思われます。
今回の金融政策微修正は発表の注目点は、前日の木曜日に米国時間中にヘッドラインニュースとして流し、緩衝材として米国市場で先に織り込んでもらい、金曜日の発表に至っているところです。これは植田総裁の計算された、予想以上にマーケットフレンドリーな手腕ではないでしょうか…。
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