米国ではトランプ大統領がアメリカの造船業を復活させるとの大統領令に署名し、当初は米国以外の国で建造された船舶は米国への入港の際関税をかけると鼻息が荒かったのですが一転、日本などの同盟国との共同で建造、開発に変わりました。
現状では軍用艦も含めて、実際に共同建造している事例は少ないのですが、技術協力、設計連携、部品供給、共同研究という形では進行しております。
具体例ではイージス・システム搭載艦がそうで、艦体自体は日本が建造し、システムは米国のイージス・システム(戦闘指揮システム)の供与から大型のイージス艦を建造しております。
他にも無人水上艦では日米共同で無人艦技術の研究開発を進めており、既に量産化段階では日米で部品生産を分担する案も議論されており、近い将来共同建造される最有力の軍用艦のようです。
米国には巨大な軍艦造船所が存在し、空母、原子力潜水艦、駆逐艦など世界でもトップレベルの軍艦を全て自前で設計・建造できる能力を持っており、特に原子力空母、原潜を建造できる数少ない国の一つでもあります。
これだけの能力を持ちながらもトランプ大統領が同盟国との共同を示したのは、そのコストと工期に深刻な問題があるからであり、例えば空母「ジェラルド・R・フォード級」、建造費は135憶ドル(約1兆9500億円)で工期は10年かかりました。
米国では既に民間の大型船舶の建造能力はすでに消滅しており、造船労働者(溶接工など)の深刻な人出不足、素材(特殊鋼材)や電子部品(レーダー、ミサイル発射システムなど)も供給遅れが頻発しております。
そこでコスト・リスクを分散しようと同盟国(日本、豪州、韓国)に白羽の矢が立ったわけです。直近テーマ化している防衛関連に新たな側面が加わり、こちらも息の長いテーマと思われます。
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