ロシアがウクライナの欧州最大級のザポリージャ原子力発電所を攻撃し制圧しました。甚大な放射能汚染を引き起こしかねない行為であり、ウッドワース英国連大使は原発やダムなどが紛争時の攻撃保護対象と定めたジュネーブ条約に違反していると糾弾しましたが、当のロシア側は全くの嘘だと否定しております。
実際にロシアとてチェルノブイリ原発事故で、東京電力福島第一原発事故の6倍の汚染を生み、周辺住民は急性放射線障害や、その後の甲状腺がんの急増などの被害を経験しているにもかかわらずの蛮行であります。
実際に原発に砲弾が撃ち込まれ、火災が起きている映像が全世界に流れているにもかかわらず、更に精密兵器による攻撃で対象は軍事施設のみで一般市民には一切攻撃してないというものの、明らかに市民を対象に攻撃している映像も既に流れており、これもまた真っ向否定であります。
現状のロシア、いやプーチン大統領にはどんな証拠を突き付けても、映像の捏造だとかウクライナ政府の悪辣な企みだとか、何らかのイチャモンを付けて決して認めませんし、正攻法の合理的な話し合いにも応じないでしょう。停戦協議も名ばかりで、市民避難の「人道回廊」も、結局一人も避難できず攻撃は再開されております。
中国の顔を立てる意味で、平和の祭典パラリンピックが始まればという淡い期待も全く叶いませんでした。経済制裁の効果もまだ先ですし、軍事的対抗手段がないNATO側の次のオプションも限られておりますので先が読めません。
株式市場は、こんな環境下FRBも一方的な引き締めには進めず、この原油高からインフレが進む要因と、恐らく現状過熱気味の需要も冷やしてくる要因といずれ交錯して来ると見込んでいるようで、バブルの崩壊で信用収縮が起きた訳ではないので、懸念されているスタグフレーションにはならないかと思われます。
ただ、この状態でも米国を含め産油国が増産に動かないのは、世界がクリーンエネルギーに大きく舵を切り、足腰を縛られてしまっているからでしょう。同じEUでも化石燃料、原発を早々に引き上げるドイツと、クリーンエネルギーとしての原発を利用するフランスでは、この問題が起こり降りかかる苦境の度合いが全く違います。
原油価格は今回のウクライナ危機が起きる前から上がっております。世界で悪者になっているCO2を盛んに出す石炭火力に比べて、断然CO2排出量の少ない火力発電の技術を日本は持っていますし、更に原発でもフランスが採用する小型モジュール炉という優れた技術もあります。
日本も含めてエネルギーの長期的視点は掲げつつも、今現在の危機を打開する現実的な路線をもっと模索するべきではないでしょうか。
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