昨日当欄で触れましたが、日銀の目標とする10年国債利回りが変動許容の上限近辺まで上昇したことで、0.25%の固定金利で国債を無制限に買い入れる「指値オペ」を発表しました。
もともと日銀は10年物国債の金利を0%程度で推移するよう調節しておりますが、その変動幅はプラスマイナス0.25%としており、今回じわじわ上昇する長期金利を上限の0.25%で止めようとする強力な措置であります。
2月にも同じように0.25%の指値オペを実行しましたが、ウクライナ情勢の急変なども手伝いその後金利は落ち着きましたが、今回はその時以上に世界の金利が上昇しております。
既に米国FRBは利上げに舵を切っており、イギリスの中央銀行も昨年12月に続いて今年2月にも利上げしており、EUの中央銀行のラガルド総裁も年内の利上げを示唆しており、世界とは真逆な日銀の金融政策であります。
当然金利差拡大から金利の安い円を売って、ドルを買う動きは引き続き懸念されますし、コモディティ価格の上昇、特に原油価格の高騰する中での円安は輸入物価の上昇に拍車をかけます。
以前当欄でも触れた、円安と円高は日本経済にとってどちらがメリットかとのお話の中で、円安にメリットがあると結論付けましたが、それでも今回のような急激な動きは好ましくありません。更にサプライチェーンに支障のある現状では円安メリットも減額されてしまいます。
日銀の金融政策はより一層難しい舵取りを求められており、今回上記の指値オペを発表しても、債券市場は2月のような反応は現状見られておりません。金融引き締めが世界の趨勢の中で、デフレから抜け出せない中で海外からのインフレにどう向き合うか、再び日銀の姿勢が試されているようです。
今週は29日の日銀政策決定会合の主な意見、31日の鉱工業生産、4月1日の日銀短観、米国では29日の消費者信頼感指数、30日のADP雇用統計、PCEデフレーター、4月1日はISM製造業景気指数、更に雇用統計と重要指標が続きます。見極めが難しい中で市場感応度を見てまいりたいと存じます。
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